多くの英語学習者が疑問に思うのが、「英会話トレーニングがTOEICの成績向上または、英語力の向上に役立つかどうか」ということです。ここでは、その疑問に対する解説を行います。
1. 実際の事例(Aさんのケース)
会社の都合で海外出張しないといけなくなった46歳のAさんは、「いずれ通訳なしで仕事ができるようになりたい」という思いから、TOEIC学習を始めました。Aさんの学生時代のTOEIC最高スコアは550点でした。
「英会話は慣れだ」と思っていたAさんはTOEICの勉強をしつつ、英会話スクールにも通うことにしました。そうして1年間続けた結果、どうなったでしょうか?
結局、AさんはTOEC600点台にとどまり、海外出張の際にも英語が上達した実感がほとんど無い。という状況になりました。
実はこのような方は案外多く、実は英会話をがんばってもTOEICや英語力は伸びにくいと考えられます。
2. 英会話とTOEICの目的の違い
TOEICは英語圏で仕事をしたり、生活する場面に主が置かれており、そうした具体的なシナリオでのコミュニケーション能力を評価する試験です。つまり日常のシチュエーションで使える英語力を測ります。一方、英会話は自由な話題でのディスカッションが中心です。例えば、自分はどんなことが趣味だとか、海外のニュース記事についてディスカッションするなどです。TOEICの試験内容とは英会話では使用される単語や表現、文脈が異なります。
3. 独学による学習の重要性
多くの英語上級者は、自主学習で能力を伸ばしています。特にTOEICの高得点を目指す場合は、試験に特化した勉強が不可欠です。特に成人してから英語を学習する場合は、リスニング、単語や文法などの基礎を身につけた人とそうでない人では英語力の伸びが段違いになります。これは私たち人間は成人して以降は脳は子供の時のようになんでも吸収しようとすることをやめて、論理的に納得できないものは記憶から外そうとするからです。
4. 英会話学習の最適なタイミング
英会話トレーニングは確かにリスニングやスピーキングのスキルを向上させますが、TOEICスコアを大幅に伸ばすためには、試験対策に特化したアプローチが求められます。TOEICの高スコア取得にはリーディングや形式的な会話の練習が中心となるため、その点を意識した学習が効果的です。
また、英会話は具体的な目標設定が難しいため、TOEICのような明確な目標がある試験を先にクリアしてから、会話能力を伸ばす方が心理的にも負担が少ないかもしれません。
つまり、英会話はTOEICのスコアが一定レベルに達した後に始めた方が良さそうだというのが結論です。では、いつから始めるのが良いのでしょうか?目安は800点です。800点を超えると、既に英語の基本的な構造が身についていると言えます。800点を超えてからの英会話は、英語力の向上に役立つでしょう。
また、TOEICで得た語彙や文法の知識は、実際の会話にも生かせるため、試験での学習が会話能力の向上にも間接的に寄与します。逆に言えば、英会話を通じて得た自然な言い回しや表現は、TOEICのスコアアップには直接的な効果は限定的ですが、長期的な言語習得においてはプラスに働くことでしょう。
最終的に、英語学習においては、まずはTOEICスコア800点まではTOIEC学習に集中し、800点を超えた段階で英会話トレーニングをすることが理想的でしょう。